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*いつも信長の野望やるときはシマズかダテでやります。ハタノ?あいつらが鉄砲作れるようになるまで100年かかるんじゃねえの?その前に100段構えくらいの鉄砲隊を無慈悲にそろえて蹂躙するのが好きです。*
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「あれ、ラマルク兄ちゃんどこいくの?」
宿の部屋に着くなり、出支度を始めたエルフの剣士ラマルクに、同室に割り当てられたポマレがそう聞いた。
「へっ。一杯ひっかけにいくに決まってるじゃねえか。あんたも行くかい?」
明日はマクガットで歴史的な冒険がなされる記念すべき日になるかもしれないのだ。クオパティ寺子屋の修聖学旅行の初日じゃあるまいし、じっと宿で寝ているなんて正気の沙汰ではない。
「おいら、お酒飲めないからなあ~じゃ、いっといでよ。おいらは先に寝ちゃうから。」
ポマレの言葉にラマルクは肩をすくめて剣を下げると、宿の一階にある酒場に降りて行った。
(ポークルってのは味覚もガキみたいな連中がおおいのかな?まあ、なんにせよ人生楽しめないガキっていうのは可愛そうなもんだぜ。)
酒、女、そして冒険。ラマルクの人生の基本法則はそういったものだった。だからこそこの胸躍る「お姫様(?)を守る騎士」というおとぎ話に手を貸すつもりになった。
一階の酒場は数人の酔客がだらしなくテーブルや床で伸びているだけで、あまり活気はなかった。しかし目抜き通りにある冒険者の酒場としては及第点だ、カウンターの後ろにはずらりと各種酒瓶が整列している。ラマルクはそれを見て舌なめずりすると、カウンターに就いた。カウンターには男が一人で酒を飲んでいて、奥ではドワーフのバーテンダーが寡黙にグラスを磨いている。
「親父、ディメントターキーをダブルだ。」
ラマルクは指を二本分示してグラスの酒の量を指定しながら、愛飲しているディメント産蒸留酒の銘柄を告げた。だがドワーフのバーテンダーは首を振る。そうかしまった、マクガットでは葡萄酒が主流でディメントの蒸留酒は銘柄が限られるのだった。
「わーったわーった。何でもいい。」
手をひらひらさせてラマルクがオーダーを翻す。正直酒の銘柄にこだわりはそれほどない。酔えるならよし、旨いならなおよしだ。
「・・・変わった酒が好きなんだな。」
「酒ならなんだって好きさ。」
カウンターについていた男がそう話しかけてきた。年のころはガスと同年輩だろうか、40の半ば、黒いつやのある髪を撫でつけにして、短く刈った口ひげをはやしている。やせぎすで、鋭い眼光と顔つきは鷲や梟などの猛禽類を思わせた。全身黒を基調にしたい出立ちで身を包みテーブルの下には片手剣を下げている。
(こいつも戦士か……)
「そうか?あまり聞かん銘柄だ。」
「親父がのんべでね。剣も酒も親父から手ほどきを受けて8つのころからアザルスにあるいい酒は大体舌が知ってるんだ。マクガットの葡萄酒もわるくないが、一本槍は武芸の幅を狭めるぜ。」
ラマルクはそう言いながら肩をすくめてみせる。
「ディメント人か?」
悪い会話の流れだ。この場はガスに教えられたシナリオ通り、マクガット暮らしの流れの冒険者として話を合わせるのが得策かもしれない。面倒なことだとラマルクは内心舌打ちをした。
「まさか!生まれてこの方マクガットの外にはでたことはないさ。」
「ふふ、ならば相当な呑兵衛だな。ディメントの酒までよく知ってるとは。まあ実は俺もそうだ、酒と剣だけが俺の自慢だ。蒸留酒の本場はディメントだが、この国の蒸留酒も悪くはないぞ。」
男はにやりと笑うとラマルクと自分にマクガット産の蒸留酒をオーダーした。
「少々甘いが、このマクガット産のもなかなかイケる。これ一杯は俺のおごりだ。」
「悪いな大将。頂くぜ。」
二人はグラスを掲げてマクガット式の乾杯をすると一気に煽った。確かに甘ったるい嫌いはあるが、まろやかでなかなかの味である。
「ジュスタンだ。」
「ラマルク、冒険者だ。」
ジュスタンと名乗った男は上機嫌で杯を掲げると次の酒を注いだ。
「冒険者か……今はこの国では冒険者家業はつらかろう。なんせ冒険者ギルドが新規冒険地の開拓を停止してるからな。」
「まあな……」
何気ない会話だが、数年マクガットを離れていたラマルクにしてみればどこでボロが出るかわからない。慎重に答えざるを得なかった。
「俺も昔は冒険者の真似事をしたものだ。まあ、若い連中は誰もが皆一度は憧れる。」
冒険冒険冒険。アザルス大陸にすむ若者を、とらえて止まないその響き。ヒューマンもエルフもドワーフもポークルもノームも、みな若いときは冒険者を一度は目指す、またそう生きる者も数多い。
「おっさんは冒険者じゃないのか?見たところ戦士の恰好だが。」
「ふ……この年になっても剣で喰うしか能がない。もう冒険はしやしないが、戦士ではある。」
やとわれの用心棒や剣闘士だろうか。冒険者という称号は持たなくても戦闘士として剣や武技を生業にするものは多い。
「冒険ができないなんて、そんな戦士の生き方はご免だね。おれには考えられない。」
栄華や栄達が欲しいわけではない。ラマルクが追い求めるのは冒険の快楽とスリルそのものだった。
「まあ、お前さんも……年をとればわかるようになる。生きてれば誰かの冒険を踏みにじらなきゃならん思いまでして、自分は冒険したくなくなるんだよ。」
ジュスタンの言葉は達観した行者のようである。
「あんた、詩人か僧侶が向いてるぜ。男は終生剣を振るってナンボだ。」
「……ラマルク、お前さん知り合いを斬ったことはあるか?」
どこか遠くを眺めるような面持ちで、黒衣の戦士はグラスをもてあそびながらそう尋ねた。
「いや、ないね。なんだそりゃ、胸糞悪い話ならやめてくれ。じじいの昔話に付き合うと酒がまずくなる。ただでさえ明日は大仕事なんだ。気分良く飲みたい。」
そう言ってグラスの中身を飲み干して、ラマルクも新しい酒をオーダーする。
「ふふふ。はっきりものをいうやつだ。まあ、じじいの話にもたまには付き合え。じゃあ、お前さん、もし自分の知り合いを斬らねばならん時はどうする。」
「斬って気分がよくなるやつならたたっ斬る。後で思い出して気分が悪くなりそうなら斬らない。俺ならそうする。」
ジュスタンは今度は声を出して笑った。
「おもしろい!マクガットにまだこんな活きのいいガキがいたとはな。まだまだこの国も捨てたもんじゃない。」
ごしごしと口元をぬぐうとジュスタンは飲み賃をテーブルの上において立ち上がった。
「この若きエルフの戦士にもう一杯やってくれ。ゼキネットがいいだろう。」
「なんだ、おっさん。いくのか?もう少し付き合えよ。」
にやりとジュスタンが笑う。
「いやなに、お前さんに良い忠告をいただたいたんでね、今晩はその方針に従うとしよう。」
「?……まあいい、あばよ。貰った酒はありがたく飲んどくぜ」
ラマルクがカウンターに向き直ってヒラリひらりと手を振って後ろ手にジュスタンを見送った。
「そうそう、エルフの剣士、覚えておけ。」
酒場の入口で振り返ってジュスタンはラマルクに声をかけた。
「この国ではな、指を二本示して「ダブル」とは言わない。それはディメントの呑兵衛どもの飲み方だ。」
「!?」
ラマルクが言外の意味に気が付いて振り返ると、羽根つき帽子を目深にかぶった黒衣の剣士はそのまま背を向け酒場を歩き去った。
(あいつ……)
ジュスタンと名乗ったあの男、ラマルクがディメント暮らしが長かったことを見抜いていた。もしやバイズリー伯の手のものだろうか。結局素性は知れないが、今晩は気まぐれで見逃してくれたとみるべきか。
(エルフにしては俺はLUKが高い方だからな。)
わからないことは、わからない。深く考えるのを早速やめて、1人カウンターに残されたラマルクはドワーフのバーテンダーが差し出した蒸留酒をぐいと煽った。
「げっ……なんだこれ、げほっ」
強烈な酒だ。さすがのラマルクも目をつむって顔を真っ赤にしなければ嚥下し終えない程強い酒気だった。喉が焼けるように熱い。
「ゼキネットです。去年マクガット南部のゼキネン蒸留所から出た銘柄ですが…お口に会いませんでしたか?かなり強い酒でお好きな方もほとんどいなかったのですが……」
「あんのやろう」
してやられた。去年でた銘柄だって?数年マクガットを出ていたラマルクが知るはずのない酒なわけだ。黒衣の剣士、ジュスタンに毒づいて、ラマルクは同じものをもう一杯オーダーした。
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あるときは宝箱の中から爆弾を出すシーフ、またあるときは攻撃の届かないファイター。
ただ皆様の平和と健康と幸福を祈るだけの存在
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プレイヤーで作る『ファッション重視』のイベントについての質問です。
審査員などによるコーデを採点する方式のイベントと、採点を行わないショー的要素が強いイベントどっちを見てみたい?参加してみたい?
— (堕ω美) (@superstreetwiz) 2015, 12月 7