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このブログは、wizon wizardryonline (ウィザードリィオンライン)のプレイ風景をつづったものです JP現アルバロア鯖で活動しているプレイヤーの個人日記です。
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これまでの小説まとめ

次回 【戦士】① 後編 はこちら
 
【哀☆戦士の歌】
作詞/作曲 ダミュイ=アンニュス

た~たかえ~戦士~哀~せんし~

ジャブロ~のマップに~な~がれるBGM~(ハアエンヤートットエンヤートット

 そーれヘッドバッシュだー そーれプロヴォーグだー

まっさきに戦死するまで~ たたかいぬ~け~(ハアナンデシーフガシンデルノ

ハイド~ファイタァなぜ強い~

セリフ「え?あれってもともとシーフのスキルじゃね?ダメージの依存値が物理寄り過ぎだろ」

最近は~ 盾にも火力にもあんまり出番がないせ~んし~

お前は もうMMでも撃ってろ~
 
 
それじゃあ妄想職業小説、戦士編ですミ☆ミ☆ミ

拍手[2回]



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城が燃える。
 
伝説の火竜の炎の舌に舐めとられるように、かっかと、めらめらと城が燃えている。異様に赤く揺れる夕日に照らされて、空の(きわ)と炎の(はし)が混ざりあい、せめぎ合っている。そのさまは天から(くれない)に染まった波が地上に打ち寄せているかのようだった。
 
『大烏城』、と言われた偉容を誇るマクガット城の全身から紅蓮の炎が噴きだして燃え盛っていた。攻め寄せる敵が鉄壁の守りに歯噛みしながら仰いだ、戦意を挫じかしめるようにそびえたつ黒い本丸の胴板がけぶっている。難攻不落の名をほしいままにし、いかに大軍に囲まれようとも、おおいなるアヴルールの眼力のごとく敵を睨みつけ、怯えさせた破風にひかる金の漆喰が、熱でちりちり(・・・・)めくれあがっている古ダルア皇国時代の名勝地、騎士道物語や戦詩に歌われた名城が無残に燃え落ちようとしていた。
 
「マクガットが…燃える、国が、燃える。」
 
 王の近衛戦士団隊長、ガス=ペーパードリックは北の二の丸で、愛馬『雷鳥』に跨り絶望的な思いでこの城の最後の姿を見守っていた。巨大な構造物が焼けて排出するおそろしい灼熱を肌で感じ、木がはぜる音を聞き、むせかえる噴煙と木炭の匂いを肺に吸い込む。いくら頭で拒否しても、彼の五感を通してもたらされた焼け落ちる城の感覚が、この出来事が良くできた悪夢ではなく彼の立つ地上で起こった現実なのだと思い知らされた。戦士の着ている近衛隊大鎧(インペリアルアーマー)は、表面に浴びた返り血の飛沫が、燃える本城の紅蓮の炎の色に融かされるように照りかえし、凄惨な朱の美しさに染まっていた。
 
(俺の昨日までの世界が終わったのだ、すべて燃えて落ちていくのだ)
 
毎朝の冬の登城の際、この場所から本丸の屋根に積もった雪の間にかわいらしく覗く金の破風を、これぞマクガット城一の妙景と仰いだことがあった。それを守る様に連なる頼もしく堅牢な造りの北十四間櫓、交易のあった東方の大陸の使者がもたらした「サクラ」が春に咲き誇っていた東七間櫓…すべてがあばら(・・・)を晒してただの木屑と炭になろうとしていた。
 
(おのれっ…おのれ、おのれ、おのれ!)
 
 クマガットに仕えるすべての武人の誉れと歴史が、自分自身の人生が、いま灰燼に帰そうとしている。武官として、戦士としてこんなに残酷な光景はない。
 
(……)
 
 ガスはしかし、深い失意の中確かな手綱さばきで愛馬を走らせた。彼には紅蓮の炎に包まれ、魔城と化したこの城を何としてでも脱出せねばならない理由があった。
 
本丸に攻め上られる寸前に王を伴って脱出した秘匿の坑道で、彼と彼の率いる近衛戦士団は待ち伏せられていた大勢の敵と戦ったのだ。難攻不落のマクガット城をたった一日で崩壊させたのは、内からの裏切りだった。魔法で秘匿されていた脱出用の坑道の情報までもが敵にそっくり渡っていた。
 
数で劣った王の近衛戦士たちだったが、王を守るため一騎当千の働きを見せた。だが戦闘が混乱の極みに達した時、無情にも一本の流れ矢が彼らの君主(ロード)の胸に深々と突き刺さり、臣民から敬愛された第17代マクガット城城主にして、マクガット国王、『古承今王』ヨーレイナロウⅡ世は落命した。
 
 思慮深く、徳をもって国を治めた白髪の老君をおもい、ガスは懐中にある一本の短剣を握りしめた。黄金あつらえの鞘には星図のようにちりばめられた宝石と、精緻な意匠が入れられている。そしてその表面の黄金はわずかに血に濡れていた。
 
 暗闇での怒声と剣戟と混乱の最中、致命傷を負い今にも息絶えようとしたヨーレイナロウ王は血まみれの手で必死に傍にいたガスに一本の短剣を託した。ガスは目を疑った。それは代々王の即位の際に継承される王剣だ。
 

 マクガットの王権の正当な後継者であることを示す『輝
宝の短剣(ストーンソード)、王は王座に就くときにこの短剣で自らの血を黄金の杯に受け止め、身命をアヴルールにささげて国を治めることを誓う。本来占星術寮の祭儀長と王以外触れることすら許されないとされてきた王家のだ。ガスも年に一度の大祓の典儀で遠目にしか目にすることがなかった、まぎれもない国の至宝であるその霊剣を渡されたということは、もはや言葉を発することもできない死にゆく王の、しかるべきもの(・・・・・・・)に渡しマクガットを治めさせよ、との最期君命だった。
 
長年戦場で剣の柄を握り、玉座で王錫を操った王の(いわお)の様な手から、宝剣がガスの手に渡される。死地であろうとも武者震い1つ起こしたことのない歴戦の王城戦士が、身霊を賭した任務(クエスト)を予感して手の震えを止められずにいた。そして宝剣に触れた瞬間、雷撃の走るような感覚がガスの全身を貫いた。おのが全霊で果たさねばならない任務魂が了解した瞬間だった
 
 それゆえ、ガス=ペーパードリックは忠誠をつくした君主の遺体を守って討ち死にする戦士の名誉も放棄して、遮二無二剣を振るって死地を脱出せねばならなかった。その王城戦士の心の内を誰が知ろうか。ともに戦場をかけ、朝夕に王と王城を守った近衛戦士団同胞の屍を踏み越え逃げねばならなかった痛みをいかに語ろうか。
 
 七尋坂(ななひろざか)に差し掛かった。三面にそびえるように石垣を臨むこの狭く長い坂を下りきれば、練馬場の先に虎口(こぐち)がある。そこを抜けて城外に逃れることができる筈である。
 
一気に坂を駆け抜けようとするガスの前に、敵の寄せ手が数名飛び出してきた。狭い坂に前衛後衛の陣を敷き、戦士を迎え撃とうとする。
 
「ぬううううぅおおおおおぉおおオオオオ」
 
 ガスはおのが裡に吹き溜まる怒りを雄たけびに変え、猛然と吠えた。理性の(たが)を外し、限界を超えた膂力(りょりょく)を戦士にもたらす戦場の雄たけび(ウォークライ)である脳の制御機(リミッター)を外したことでガスの腕の筋肉が通常の倍近く膨張した(あぶみ)を渾身の力で踏みしめ、鋼鉄の槍を恐ろしい速さで繰り出すと、目の前に立ちふさがった雑兵の胸に八つ分もある長さの穂先が根元までやすやすと突き刺さった。そしてそのまままったく手綱を緩めずに胸を貫かれた男を陣旗のように片手で掲げて駆け、後衛槍ごとぶん投げたこの鬼神の如き戦士の所業に恐慌をきたし戦列を崩した兵士は『雷鳥』がすみやかに踏み殺してゆく。それでも立ちふさがる敵は疾走する馬上から片手剣(バスタードソード)を振りおろし、兜ごと唐竹割(ヘッドバッシュ)にして包囲を突破した
 
 坂の両側にそびえる「魔術師返し」(リフレクションメイガス)と呼ばれた特殊耐霊魔法(レジスト)が施された石垣の間を駆け下りる。王城魔術師の一団がその一角に押し込まれ、無残にも敵弓兵から波状攻撃を受けているのが見えた。自らの魔術の粋を凝らして鍛えた魔法の障壁を敵に盾にとられ、マクガット家自慢の百戦錬磨の王城魔術師達が次々と討たれていくその絶叫を聞きながら、ガスは苦渋の表情で『雷鳥』を駆ったあれほど堅牢だったこの城が、たった一日でこのありさまだ。裏切り者はバイゼリー伯かヴェレイジオ公か、いずれにしろ隣国と散発的な小競り合いが続いていたことを理由に、高齢でなおかつ世継ぎの居なかったヨーレイナロウ王の王位継承問題に付け込んで反旗を翻したのだ。
 
(……売国奴どもめ。獅子身中の虫め。)
 
 激しい怒りに心中焚きつけられるようだった。今すぐ憎い反逆者たちのそっ首を叩き落とすために、馬首を返して敵本陣に切り込んでやりたいという衝動が沸き起こるが、もはや今、ガスの命は彼一人のものではない。王の遺命を果たすためには、この死地を乗り越えることに全精力を注がねばならなかった。
 
坂を下り終えると、錬馬場方面から駆け付けた騎馬弓兵が将首逃がすまいと幾筋もの矢を射かけた。とっさに構えた円形盾(ラウンドシールド)をかいくぐって、数本の矢がガス矢板を抜いて身に突き刺ささったが、鍛えぬいた戦士の皮の下の筋肉の鎧(やじり)を骨まで通しはしなかった
 
(俺は死なん・・・絶対に死なん)
 
 そう念じ続けたまま、唇が血に染まるほど歯を食いしばり、ガスは焼け落ちた城門を出て城下町を目指した。
 
 
*次回 【戦士】①後編は こちら*
 
 
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