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これまでの小説まとめ
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*小説の内容を他で補足するってなんかとってもダメな感じですが、いちおう種族表記については「ノームの~」「ドワーフの~」などとついていない場合はヒューマン(我々の世界での一般的人間)という感覚で書いています。あるいは種族がわからない感じで書いてます。
ただ単に男、女と表記した場合もヒューマンのつもりです。はうー説明するのはずいー*
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「彼女さんへのプレゼントですかぁ~?」
ノームの女店員がはしゃぐように接客する。
「いや、ちがう。」
「じゃあ、奥さまへのプレゼントですかぁ~?」
「俺は独り身だ。」
「え~じゃあ、もしかして愛人……とか?きゃ♡」
「ちょっと早く適当なものを選んでくれないか……」
ガスは、いい加減うんざりしたような顔でそういった。ノームの若い女はなんでみんなこんな性格なのだ。ほとんどがおせっかいで、残りもおせっかいだ。店の中にはこの女ノームの服装店の店員くらいの年ごろの女性が数多くいて、思い思いに服を選んだり、試着したりして買い物を楽しんでいる。
旧暦ディメント安息日の昼だからだろうか、カップル姿の客も多い。旦那かパトロンか、ガスを含め店内に点在する少数の男性客のどれもが、憔悴し、疲れ果て、戦いに倦みへこたれた顔をしていた。
(ドレジア岩王国の王党派兵士と共に戦ったのを思い出すな・・・)
旧マクガットの同盟国、ドワーフ王の治めるドレジア岩王国が政争のため、一時王権が簒奪状態に陥ったことがあった。ガスの仕えたヨーレイナロウ王は盟約に応じて自ら兵を伴って王党派の救援に赴き、若かったガスも王の馬周りとして同行したのだ。10か月にも及ぶ山岳坑道での過酷な持久戦を戦い抜き、見事王国はドレジア王のもとに復権したが、その先の見えない戦いの最中、埃と泥にまみれて岩盤を背に眠った王党派の兵士たちと、ここにいる男性客は同じ顔をしている。
戦いは過酷だが、熱い時代だった。馬上に仰ぎ見た壮年のマクガット王のなんと偉大で覇気のある姿だったか。まだ10代だったガスは、頬を紅潮させながら、終生この王の剣とならんと固く心に誓ったのだ。ああ、鬨の声が聞こえる…偉大なる王に栄光あれ…
「お客様?あの~お客様。これもお入れしてよろしいでしょうか?」
職業戦士、ガス=ペーパードリックが、つらい現実を忘れようと脳が必死に描き出した遠い戦場の幻想から帰ってくると、眼前に迫るノームの女店員が透けるほど薄い布地に過剰なフレアをごてごてつけた女性用の下着を広げながら、そう尋ねていた。
(勘弁してくれ・・・・)
ガスは生涯初めて戦わずして降伏するという心持を味わった。蒼い顔で全部なんでも入れてくれと告げると、ノーム女は嬉々として布地があるのだかないのだかわからない下着を大量に買い物袋に詰めはじめる。そのデザインどっちが前でどっちが後ろなんだ?穿くのか被るのか、一体どっちなんだ?曲りになりも普段の女性の秘所を守るための装備だろう、ACが見当たらない装備を着る意味があるのか?ナティル様は「忍者」じゃないんだぞ。
ナティルとアフレアを『灯台の街』に移して一か月がたった。アフレア親子…もっともナティルはそのことを知らないが…は、初め頑迷に転居を拒否していたが、ガスたちがエドワナ村を訪れた時のようにいずれかの派閥の刺客がまたぞろやってくるかもしれない。やっとの思いで説得し『灯台の街』の一室に二人を連れてくるのも一苦労だった。現在二人を堅固なつくりの塔の一室にかくまっているのだが、女性が使う日用品が足りなかった。いくらなんでも寒村の修道女という恰好で街中にいつまでも暮らすわけにはいかない。人目に付きすぎるのだ。新しい服の買い出しが必要だった。
そこで軍神前広場に連なる呉服屋街で、ナティルに合うような衣服を買い集める任務に出たガスだが、それがこれほど難儀だとは思わなかった。そもそもはじめは同性のビジョンを使いにやらせたのだが、彼女が選んでくるものはどれも両極端で、どこぞの暗殺者が任務で着るような黒装束の衣装か、遊女が街に立つ時の様なはだけた恰好の二択しかなかった。どちらもまさかナティルに着せるわけにはいかない。
(グレイン卿が「クノイチ」に必要な素養がどういうものだと考えていたのかがよくわかる。)
多くは身の上を語らないクノイチのビジョンだったが、天涯孤独で物心ついたころからグレインに引き取られ、間諜になるべく教育を受けたのだという。彼女もまた数奇な人生を送っている一人だった。
「これなんか~私が着たい位ですよお~。あ、そっちのは今年のイルコレで発表された新作なんです。こんなものを買ってもらえる女の子は幸せだなあ。きっといいとこのお嬢様なんだろうなあ」
ナティルには、異国の王のおとし子である、ということは今のところは伏せている。ただ、本当の父親は高貴な方なので、そのため暮らし向きを変える必要があるとは伝えた。子供ながら聡明なナティルには下手にごまかすより、ある程度真実を伝えたほうが今後のためにもいいだろうと判断したからだ。しかしそれでもいつかは本当のことを包み隠さず語るときがやってくるだろう。
服飾店での長い戦いが終わり、戦後処理気味に財布から金を払うと、抱えきれないほどの衣装箱をもって、ガスは店を出た。日中彷徨い出た吸血鬼のように通りを照らしている陽光に目を細める。実際吸血鬼のように青ざめていたことだろう。やたら元気のいい女店員の見送りの声を背に受けて、ヨタヨタと戦士は歩きはじめた。
ここ、軍神前広場は今日も行商や往来人でごった返している、街の東部と西部に大きく分かれる『灯台の街』だが、東部の繁華街といえばこのあたりだった 『灯台の街』は港としてはさほど大きな部類にないが、冒険者を多く擁するため商業が発達したという背景がある。アフレアとナティルが潜伏していたエドワナ村で彼らを襲った化け物使いも、おそらく汚れ仕事専門の冒険者崩れなのだろう。一応身元を洗ってみたが、何もわからなかった。基本的に冒険者とは冒険者ギルドが身元を保証する職業ということになっていたが、実際戸籍すらまともにもたず、実力と風評だけで冒険稼業についている流れの冒険者はこの街にはごまんといるのだ。
(とにかく当面はナティル様達を守らなければならない。)
マクガットのお家騒動に関わる何者かが、ナティル達とガスの関係に気が付いていたのは間違いない。ガスがエドワナ村を訪れたタイミングでナティルを奪いに来たのがいい証拠だった。ナティルは女児であるから、自らが王位を継ぐことはできない。だが、正当な他家の王族諸侯と婚姻関係を結べば、十分マクガット国の王権を主張するに足る理由になるのだ。ガスが最も恐れるのは、ヨーレイナロウを討ち、現在実質的にマクガットを奪っているバイズリー・ヴェレージオ両候の手にナティルの身柄がわたる事だった。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、冒険者?ちょっといいものがあるから見ていかない?」
ガスの周りをぴょんこぴょんこ飛び回る様にして、ポークルの行商らしい男がまとわりついてきた。この手の呼び込みは市場では日常茶飯事だ。無視して歩き続けるガスだが、男は引き下がらない。
「うちは何でもそろってるよ?剣から槍から馬から船から城まで!ないものは何だってそろえるし……なんなら鑑定も、下取りもするよ。適正な価格をつけて、誠実買取!戦利品の迷宮税もぽっきり8%!それがオイラのモットーだからね。」
船?城?まあ、この手のぼったくり風行商のいうことに真実は半分ほどだ。よしんば言ってることが本当だとしても、聞く価値のある話となるとそのまた半分だった。数年この街で冒険者として暮らしてみて分かったが、冒険者を取り巻く経済というのはとにかくぼったくりと詐欺が渦巻いている。冒険者ギルド認可の巨大商会、ボルタックチェーンですらそういった風潮だ。ここは地の果ての街、欲望と悪意だけが常に勝ち続けるバランスの地上の魔窟だった。
「お姫様用のお召し物もあるし……なんなら、お兄ちゃんの懐の綺麗な短剣も買いとれるんだけど。」
ガスは思わず足を止めてポークルの行商を睨みつけた。
「お前、マクガットの人間か。いずれの諸侯のものだ。」
「お兄ちゃん、こわいこわい……オイラはただの商人さ。ちょっとだけ耳早いのが商売のコツ……オイラが真実仕えてるのはただこれだけ。」
そういってポークルはチョッキのポケットから金貨を取り出して指ではじいて見せた。
「ただの商人だと……?何が目的なんだ。」
「もちろん商売だよ。まあ、あんたのねぐらにつくまでも少し時間があるだろ、話しながら行こう!商売は迅速第一、信用第一、だからね。あ、それと安心して。そもそもあんたらがどこにいるかも知ってんだ。別に隠れ家を突き止めようってんじゃないからさ。」
「・・・・・・」
確かに、周囲に気になる間者や戦士の殺気はない。よしんば手出しをするにしても、この男の目にはそういった類の駆け引きの色はなかった。
ガスはため息をつきながら、同意の意をしめし、ナティルの居る隠れ家に戻る道すがらポークルの話を聞くことにした。確かに、ガスが宝剣を持っていることを知っている相手なら彼の隠れ家もわかっていることだろう。奪うつもり襲うつもりならそんなことを告げたりしない。油断はならないし、異様に怪しいが、ガスもこの男の目的を会話のなかで探らねばならない。
*次回【戦士】④-中編はこちら
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あるときは宝箱の中から爆弾を出すシーフ、またあるときは攻撃の届かないファイター。
ただ皆様の平和と健康と幸福を祈るだけの存在
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プレイヤーで作る『ファッション重視』のイベントについての質問です。
審査員などによるコーデを採点する方式のイベントと、採点を行わないショー的要素が強いイベントどっちを見てみたい?参加してみたい?
— (堕ω美) (@superstreetwiz) 2015, 12月 7